松島

2015.06.02     Translation of author 日本語

 

2015年3月8日、塩釜神社へのお参りをした後、僕たちは松島へ向かった。

みぞれ混じの小雨がぱらつく天候だったが、松島にはたくさんの人が観光に訪れていた。

 

そういえば「松島までは人が来るけど、それ以北にはなかなか来ない」というような話を聞いたことがある。

それは単純に距離と所要時間が大きな要因だとは思うけど、震災の被害が大きかったエリアは、観光客が訪れにくい場所であるようだ。

 

そんなことも思いながら松島を歩いた。

霧の中に遊覧船が浮かぶ幻想的な風景の中で、スマホで自撮りする若者グループや、観光バスで訪れている団体客の姿が目立つ。

とてもわかりやすい感じの観光地だ。

 

 

「写真を撮ってもらえませんか」と大学生くらいの男子3人組に頼まれた。

詳しい場所は忘れてしまったが、彼らはボランティアの帰りに松島に寄ったのだという。

おそらく大学の春休みを利用して、被災地へボランティアに行っていたのだろう。

 

松島は多くの島が防波堤の役割を果たして、比較的被害が小さかったと言われるが、

遊覧船乗り場から、瑞巌寺に向かう参道には、「3・11津波到達地点」と書かれた案内板が立っていた。

 

確かに地震はあった。東京でもあれだけ揺れたのだからよくわかっているつもりだ。

松島まで来ると、実際にその震災の跡がいろんなところから見え隠れする。

しかもたった4年前のことだ。だけど、なぜか実感があまり湧かない。

霧がかかった松島の海の風景のように、まぎれもない現実だけど、うすぼんやりとして、そのことを自分がきちんととらえきれていないような気がしてならない。

 

売店で買った焼きたての牡蠣も、おまけでもらったイカゲソもうまかった。

松島は風景も美しいし、食事もうまいし、観光できる場所もあるし、遊覧船もあるし、宿泊施設もある。

友人グループでも家族でも団体でも受け入れられるキャパがある。

とてもよい観光地だ。

ちょっと松島行こうか、という気になるし、行きやすい。

でも、それ以北になると、時間も必要だし、もう少し念入りに下調べが必要になる分、気軽さが減る。

「松島までは人が来るけど、それ以北にはなかなか来ない」というのはよくわかる現象だ。

それ自体は良いわけでも悪いわけでもないけど・・・、などとうすぼんやり思いながら、車に戻り、僕らは石巻を目指すことにした。

 

 

 

プロフィール
瀧本 大一郎

瀧本 大一郎

編集 / 写真 / 映像 / ライター

1972年 愛知県出身。法政大卒。株式会社tabit代表/webプロデューサー。Shima-trip発起人。
卒業後に就職した広告会社を3年弱で退職してフリーライターに。
30代前半に東京でのパッとしない日常に嫌気が差して、アジアをぐるぐる放浪したのちインドでしばしそとこもる。
帰国後しばらく愛知県で自動車工場の期間従業員などをして金を貯め再上京。
派遣社員(ライター)、web制作会社などを経て、現職はwebプロデューサー。
コンテンツの企画・制作、編集・ライティング、映像制作、写真撮影なども行う。
島歴:ペナン島、ランカウイ島、サムイ島、パンガン島、タオ島、サメット島、デッド島、薩摩硫黄島、石垣島、西表島、波照間島、与那国島、竹富島、ハワイ島、礼文島、利尻島、奄美大島、豊島、直島、犬島、青ヶ島、八丈島、宮戸島、網地島、出島、金華山など。

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