東北の結界

2015.05.02     Translation of author 日本語

 

東北へのSHIMA TRIPは、僕らの旅の数日前に開通したばかりの常磐道で向かうことにした。

SHIMA TRIPの前に余計なストレスを受けてしまうような気もしたけど、東北の島を旅するのであれば、その道を通るのがSHIMA TRIPらしくも思えた。

福島第一原子力発電所の付近に来ると、除染によって生まれた廃棄物がそこらじゅうに積まれていて、サービスエリアでは放射線量がリアルタイムで表示されていた。

想像していた通り、それらは僕を陰鬱な気分にさせ、日本という国や自分の在り方を否応なしに考えさせられる風景だった。

その道を走りながら、井島さんから『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』という本の話を聞いた。

 

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常磐道を走り切った僕らは、まず陸奥国の一宮である塩釜神社にお参りに行った。

日本の創世神話をテーマに継続的に撮影している井島さんの話では、SHIMA TRIPで向かおうとしている金華山にある「黄金山神社」と、塩釜市の「塩釜神社」は対をなしていて、それらはある次元においては“東北の要”であるということだった。

そして、創世神話やその背景、そんな視点に立って俯瞰的に考えてみると、(ある次元において“東北の要”の)この地で2011年の3月11日に起きたその天災は、ある意味でこの世の大きな転換のきっかけになる(可能性を秘めている)と読み解くこともできるのだという ――――――。

 

一説によれば、元来、塩釜神社と黄金山神社を結ぶライン(を延ばした直線)は、蝦夷(エゾ)に対する結界の意味が込められていたそうなのだ。

それは南方から国造りをしてきた「日本(ヤマト)」を「蝦夷」から守る結界ということになる。

ということは、その昔、その意味においては塩釜以北は「蝦夷」として「日本」から切り離されて(切り捨てられて)考えられていたとの見方もできてしまう。

 

そして3.11に起きた地震の震源は、まさにこの結界ラインの直線上にあり、その震源から発生した津波は東北の沿岸を滅茶苦茶に破壊した。

そう考えたときに、震災はその結界を破壊する(した)ものであり、「日本/蝦夷」のような『敵対』や『差別』や『偏見』を、そして結界を張って自分だけを守ろうとするような『心の在り方』自体を破壊する(した)ものであり、新しい「国」や新しい「時代」や新しい「価値観」が生み出される『きっかけ』になる(可能性を秘めている)出来事である(あった)と考えることができる。

そんな風にとらえることもできなくはない。

 

もしかしたら井島さんの言っていたことは、それとは少し違っていたのかもしれないのだが…、僕はそんな風に解釈したのだ。

 

 

もちろんその震災の被害は甚大で深刻で、非科学的な話でその震災を意味づけて納得してしまおうなどとは微塵にも思っていない。

ただ神話や過去がどうあれ、起こってしまった震災が『きっかけ』だったと言えるように、そうなっていくように努力をすること。

少なくとも、そういった視点で自分を見つめながら生活をすることが、この時代に生きる意味なのかもしれないと、今思う。

 

 

プロフィール
瀧本 大一郎

瀧本 大一郎

編集 / 写真 / 映像 / ライター

1972年 愛知県出身。法政大卒。株式会社tabit代表/webプロデューサー。Shima-trip発起人。
卒業後に就職した広告会社を3年弱で退職してフリーライターに。
30代前半に東京でのパッとしない日常に嫌気が差して、アジアをぐるぐる放浪したのちインドでしばしそとこもる。
帰国後しばらく愛知県で自動車工場の期間従業員などをして金を貯め再上京。
派遣社員(ライター)、web制作会社などを経て、現職はwebプロデューサー。
コンテンツの企画・制作、編集・ライティング、映像制作、写真撮影なども行う。
島歴:ペナン島、ランカウイ島、サムイ島、パンガン島、タオ島、サメット島、デッド島、薩摩硫黄島、石垣島、西表島、波照間島、与那国島、竹富島、ハワイ島、礼文島、利尻島、奄美大島、豊島、直島、犬島、青ヶ島、八丈島、宮戸島、網地島、出島、金華山など。

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