アイキャッチ0315_圧縮

アオガシマトリップ#002「八丈島トランジット」

2015.04.23      Translation of author 日本語

 

初上陸の八丈島は都内に比べて暖かく、どこかのんびりしていて南国情緒があるように感じられた。ボブマーリーを聞きながらラムでも飲んだら気持ちよさそうな空気感だ。嫌いじゃない。ただ、波乱スタートの余波が続いていたので八丈島の雰囲気を楽しむ余裕も時間もあまりなかった。

 

S_アイフォンデータ 156

 

いろいろと考えがまとまらないまま気ばかりが急いていたのだろう。手荷物をピックアップする前に到着ロビーに出てしまい、空港スタッフの方にお願いして取ってきてもらうようなありさまだった。

ようやく手荷物を受け取ると、まず八丈島発-青ヶ島行きヘリコプターのチェックインを済ませた。その際にカウンターの方に予約していたうちのひとりが飛行機に乗り遅れたことを伝える。そして、その1名分のヘリコプターのチケットのキャンセル(払い戻し)ができるかを確認したが、このタイミングでのキャンセルは不可能。つまり乗れないにもかかわらず、お金を払う必要があるということだ。

また、翌日のヘリコプターの予約状況を確認するも、翌日の搭乗予定は定員まで埋まっており1名分でも予約は不可能。この時点で井島さんが青ヶ島に来るためには、翌日の定期船(あおがしま丸)に乗船するしかなくなった。

八丈島から青ヶ島に向かう定期船(あおがしま丸)は基本的には1日1便就航している。しかし欠航率が高いことで有名だ。もし翌日のあおがしま丸が欠航になれば、この2泊3日の旅で井島さんは青ヶ島に上陸できないということになる。

もとをたどれば搭乗口での待ち合わせを確認せず、来るものとたかをくくっていた自分にこそ非があるとは思う。ただ、井島さんはきちんと搭乗できる時間に羽田に来ていた(チェックインカウンター前のロビーで待っていた)し、少なくともすぐに対応すれば十分に搭乗できるタイミングで空港職員に状況を伝えていたのだ。それにもかかわらず搭乗できなかったという理不尽さ。航空会社職員のマニュアル的で機械のように融通の利かない頑なな対応。そのあまりにも人間味の希薄な対応。そんなものにどうにも釈然としないものを感じてしまう。

とはいえ今となってしまっては、いくら交渉をしてみても、そして(そんな気配はまるでなかったが・・・)仮に航空会社の社員がどれだけ力を尽くしてくれたとしても、もう誰にもどうにもできそうにない。

 

566A8256

 

自分の確認不足を悔やむ気持ちと、どうにかしたくてもどうにもできない無力感と、ぶつけどころのない不満感。そんなものを感じて、少し気分が重たくなった。酒を飲んでもいないのに重度の二日酔いをしてしまったかのような受け入れがたい嫌な気分だ。

青ヶ島に上陸するためには八丈島からのヘリコプターか定期船を利用するしかないのだが、いずれも1日1便しかない。ヘリコプターは定員9名で、かなり早めに予約しないとチケットが取れない。定期船は前述したとおり天候不良等による欠航がかなり多く、就航するかどうかは直前になるまでわからない。

そのため青ヶ島に行くには、かなり早めに予定日を決めてチケット等を準備をした上で余裕を持ってスケジュールを組まなければならない。さらにスケジュール通りにはいかないことも覚悟しておく必要がある。

ゆえに、時間に余裕がない人にとっては渡航の予定を立てること自体がなかなかできない。結果、青ヶ島は東京都に属していながら上陸するのが超難しいと言われる“絶海の孤島”なのである。

天候や仕事の都合で渡航予定を2度キャンセルしている僕らもその難しさは身を持って感じていた。それでも、どうしても行きたいという思いに駆られて万事を繰り合わせ、今回が3度目のトライとなる青ヶ島への渡航計画だったのだ。しかしながら、まだすんなりとは上陸させてくれないということらしい。

そこまで上陸を拒むのか ――――――。

そう考えるとこのあまり望ましくない状況もなんだかむしろ面白く思えてきた。そして、ひとりで少し笑ってしまった。笑ってしまうと重たかった気持ちもそれなりには和らいだ。

どうしようもないものはどうしようもないと認めつつ、今のこの状況からできることをひとつひとつやっていくしかない。と言うとなんか大変そうだけど、実際にはできることをひとつひとつやっていけばいいだけのことだと思う。

一息ついてから、羽田にひとり取り残された井島さんへ電話をして、こちらの状況とこちらで得た情報を伝えた。

一応、思いつく限りの可能性をあたってみて、結局たいしたことはできなかったけど、この場でできる範囲のことはやってみたはずだ。井島さんにはとりあえず今日のうちに八丈島まで来ておいてもらって、あとは運を天に任せ、明日のあおがしま丸の就航を祈るしかない。そして、(申し訳ないけど)僕と村田さんは先に青ヶ島に向かおうと思う。

そう考え、そう伝え、井島さんも同様の考えでいることがわかって、ようやくすっきりと気持ちを入れ替えることができた。そして僕と村田さんは2人で、とにかく青ヶ島へ向かうことにした。

 

566A8258

 

そういえば本当に2人だけで孤島に行くの?とか、村田さん的に大丈夫なんだっけ?という心配が再び頭をよぎったが、村田さんは特に気にしている様子はない。むしろあたふたしている僕よりも落ち着いているようにすら見える。それなのに僕から「大丈夫?」とわざわざ聞くのも変に意識させるような気がして、あえて確認するのはやめておいた。

明日のあおがしま丸の就航を祈って、井島さんが無事に合流できることを祈って、あとは余計なことは考えず純粋に旅を楽しむモードにシフトしようと勝手に決めた。

 

 

 

【series】 アオガシマトリップ index