海とごはん[済州島]#007 「ぶどうのかたちのホテル」

2015.01.06      Translation of author 日本語

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旅の前からとてもとても楽しみにしていたのがこのホテルに泊まることだった。伊丹潤さんという在日韓国人2世の建築家が設計したホテルで、館内のインテリアもホスピタリティも素晴らしいのだそうだ。

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旅行2日目の日程を満喫し、ホテルへとレンタカーをひたすら走らせる。日が落ちて辺りが暗くなってきて、街灯もなく人もほぼ通らない道をさらに走る、走る。道の両端には伸びきった雑草が茂っていてなんだか鬱蒼(うっそう)としてきた。「ほんとうにこの道で合っているのだろうか?鹿や熊が出てきたらどうしよう?いや、むしろおばけが出そうだ」と次第に不安が募っていったが、ふっと視界が開けた先にゴルフ場が見えてきた。道沿いにはトーンメントを告知するのぼりも立っている。

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広々としたゴルフ場の敷地内にこの日の宿である「ポドホテル」はあった。「ポド」とは韓国語で「ぶどう」のことで、このホテルが上から見るとまるでぶどうの房のように見えることからきているそうだ。聞いていたとおりのセンスのよい空間に再び心が弾む。廊下を歩いているだけの間にいくつもの芸術的なスペースがあり、目を奪われてしまった。もはやアート作品の中に宿泊すると言ったほうがふさわしいかもしれない。

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案内された部屋はさらに私の気持ちを高揚させた。木で組まれた天井にゆったりとしたバスルーム、広大な庭に面したプライベートテラスにはデッキチェアーもある。韓国と日本の伝統建築様式を組み合わせてそこにモダンの要素を足したような、柔らかさと凛々しさ両方が感じられる空間だ。

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バスタブにたっぷりとお湯を張って(ここは美人湯という温泉が引かれている!)のんびり入浴した後は、外の景色を見たり写真を撮ったり、少しでもこの時間を楽しむことに全力を注いだ。素敵な部屋で見る韓国のお笑い番組はいつもより面白い気がした。夜食にはルームサービスの天ぷらうどんを頼んでみた。夫曰く、これがポドホテルの名物のひとつなのだとか。たしかにとてもおいしいうどん。しかもデザートはきなこ黒蜜アイス。済州島でこんなメニューを食べられるとは思っていなかった。

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ところどころに日本を感じることができるポドホテル、日本で暮らした韓国人、伊丹氏の両国に対する愛情が表れた、優しさあふれるホテルだった。

 

 

 

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