海とごはん[済州島]#003 「出会いの焼き魚」

2014.11.26      Translation of author 日本語

済州島でいつも行列ができるという、アジの味噌汁が食べられる店で遅めの朝食。開店時間より早めに行ったのだが、やはりすでに何組かが待っていた。評判どおりの人気店のようだ。それでもなんとか一巡目に入れることになってひと安心。席につき注文を済ませて夫と会話をしていると、隣のテーブルについたひとりのおじさんから声をかけられた。私たちが日本語で話しているのが聞こえたからだという。

チェジュ3_1  チェジュ3_2

おじさんは同年代の8人ほどのグループの引率者らしく、そのグループ全員が韓国なまりの残る日本語を使っていた。聞けば在日韓国人の方たちで、日本で知り合った仲間であり、声をかけてくれたおじさんはソウルにある大学の教授だということだった。当時私が韓国語を学んでいた語学学校がまさにその大学の付属だったのでさらに驚いた。おじさんたちはときどきこうしてみんなで集まっているのだそうだ。みなさんの表情が穏やかで、この旅が充実していることがすぐに感じ取れた。「私の子どもと同じくらいの歳ね」、「夫婦で旅行なんていいわね」と、笑顔で次々に話しかけてくれる。自分たちでも冗談を言い合って楽しそうだ。

チェジュ3_3  チェジュ3_4

おじさんは私たちに焼き魚を分けてくれた。その店のアジの味噌汁はとてもおいしかったのだが、おじさんがくれた魚はさらに絶品で、私はますます嬉しくなった。
まったく別の人生を歩んできた者同士が旅先で一瞬触れ合う、こういう出会いがあるから旅は楽しい。

チェジュ3_5  チェジュ3_6

 

 

 

【Journal】海とごはん[済州島]index