初めての島旅

2014.08.11      Translation of author 日本語

はじめて自分の意志で「島」へと旅をしたのは、今からもう20年以上も前になる。

大学で東京に出てきて、ようやく東京での生活に慣れ始めた頃、何人か海外を旅してきたという人に出会い、そんな人たちの話がどれもとても魅力的で、とにかく海外に行ってみたいと思うようになっていた。

大学にはろくに行かずにバイトばかりしていた僕は、海外に行きたい思いに任せてバイト先で知り合った友人と2人でタイへ出かけた。

はじめての海外の地にどこを選ぼうとかそんなことは、ほとんど考えていなかった。とりあえずエアチケットの値段が手頃だったこと、そして周りに何人か行った人がいて皆よかったと言っていたから。それがタイを選んだ理由だった。

お金はもちろんあまりないので「地球の歩き方」を頼りに安宿をめざし、当然のようにカオサンのゲストハウスにピットイン。数日後(1週間くらいだったかな?)の帰りのエアチケットはあるけど、現地での予定は何もない。そんな旅。

地球の歩き方には載っていたけど、カオサンは今みたいに都会な感じじゃなくて本当にきったない安ホテル街という感じだったし、通りを歩いていても日本人に会うことはあまりなかった、と思う。(ちょっと記憶があいまいだ。)

それでもカオサンに1~2泊する間にゲストハウスのタイ人スタッフSと仲良くなり、教えられるままにパッポンに行ってみたり、カラオケという名のよくシステムのわからない店でぼられそうになったり、ゲストハウスがやってるレストランの厨房で激辛料理を食わされたり、虫を食わされたり、下痢になったりなどなど、ひととおり貧乏アジア旅行な感じを満喫したところで、Sから南の島に行かないか?と誘われた。

なんでも、最近飛行場ができて飛行機で行けるようになったいい島がある、ということだった。島の名前はコ・サムイだという。

誘われるままにカオサンにある旅行代理店に行き、話を聞いてみると明日にでも行けるという。飛行機の値段は結構高かったけど、せっかく島に行くなら(移動時間は短くして島で)ゆっくりできる方がいいとかなんとかいろいろと説得されてとにかく行ってみることにした。(でもやはり高かったので帰りはバスにした。。)

その時Sは自分も連れて行ってほしい(から自分のチケットも買ってくれ)と訴えてきたがさすがにそれは断った。それが断った理由では全然ないけど、ちなみにSはゲイだった。

そんな風にしてたどり着いたコ・サムイは当時の僕の人生史上No.1と言えるほど最高の場所だった。

何の予備知識もなかったので、宿泊することになったバンガローが夜真っ暗でなにも見えなくなることや、超でかいゴキブリが出没することに最初はちょっと面食らったけど、バンガローからそのまま歩いてビーチに出れるし、近所ではヤシの実とか取ってるサルもいる。心地いい風を受けてバイクで島を走って滝を見に行ったり、海の見える小高い丘の上にあるカフェでビールを飲んだり、夜はバンガローがやってるカフェでいろんな国の人たちとまったり過ごしたり。全部生まれて初めての経験で、そのすべてが最高だった。

この20年で急激に開発が進み、今を知っている人には信じられないかもしれないがコ・サムイは当時は観光客と言えばヒッピーしかいないような島だった。少なくとも当時の自分にはそう思えた。だから、映画『ザ・ビーチ』を見たときには、なんだかとてもあの時の旅が思い出された。

もちろんあそこまで「!」なことは全然なくて、ほんとにピースな旅だったけど、未知の体験からくる心地よい興奮の中で自分の奥に眠っていたものが呼び起されるような、そうかと思えば自分の心で暴れていたものが諭されておとなしく眠りにつくような、とても不思議な感覚だった。

それが最初の海外への旅であり、「島」への旅。その時は最初から「島」を目指していたわけではなく、たまたまたどり着いた感じだったけど、その時感じた「島」の魅力はとてつもなく強烈だった。

最近まではっきりと意識したことはなかったけど、それからは、日本でも海外でも、気が付くとちょいちょい「島」を目指すようになっている自分がいる。単純に楽しみたいときやゆっくりとした時間を過ごしたいとき、自分の中でどこか行き詰っているときや、とにかくなんか状況を変えたいときなどにも自然に「島」を目指すようになっている。

そして、だいたい優しくときに厳しく、癒されたり刺激されたりしながら、いつも「島」はなにかのきっかけや気づきを与えてくれる。それは「島」に限らず「旅」すべてに言えることかも知れない(というかそれを旅というのかもしれない)けれど、旅の中でも「島旅」はどうやら“鉄板”と言っていい。

そんな「島旅」をもっと楽しみながら、「島旅」の魅力を多くの人に知ってほしいし、多くの人と共有したい。できればあんな強烈な感動をまた味わいたいし、できるだけ多くの人に味わって欲しい。

そんな気持ちで『SHIMA TRIP』をはじめようと思っています。