海とごはん[済州島]#001 「空回りの日の黒豚」

2014.11.12      Translation of author 日本語

済州島には名物がたくさんあって、黒豚もそのひとつ。ソウルにもこの済州の黒豚をウリにした焼肉屋があり、そのお店がかなりおいしい。一食目がそんな黒豚料理の予定だったので、私は期待でいっぱいだった。

済州島へは金浦(キンポ)国際空港から国内線で約1時間の距離だ。しかし今回の旅では到着までにいろいろあった。まずは私がパスポートを家に忘れ、空港で気がつく(同行者の夫は韓国人なので国内線にパスポートは必要ないのだが、私はもちろん必要)という失態を犯してしまい夫が激怒。慌てて取りに戻り、なんとか時間に間に合ったと思ったらLCCのためフライトが2時間遅延。空港でも機内でも非常に気まずい空気だった。

ようやく島に着いた頃には日も傾きはじめ、到着の安心感とともにお腹も空いてきた。いい感じいい感じ。「きっと黒豚の味がこれまでの気まずさを帳消しにしてくれるに違いない」と、私の心はふたたび躍り出していた。

夫が地図を見ながら案内してくれたお店は、いたって普通の店構え。内装も素っ気ない。「こういうところこそ実力店なんだよね〜」とニヤけつつ、手際のよいおばさんに肉を焼いてもらう。小皿にはキムチや薬味が用意され、私たちはお酒をちびちびやりつつ焼けるのをじっと待つ。肉を焼く板の中央でイワシの塩辛が入ったコチュジャンタレが温められ、そして肉から滴り落ちる脂で卵焼きが作られる。まったく無駄のない仕組み。

チェジュ1_1 チェジュ1_2

肉に焦げ目がつくほどしっかり焼けたら、やっと「食べてもOK」との声が!

チェジュ1_3 チェジュ1_4

勢いよく頬張って肉のうまさをかみしめようとしたら……あれ、なんだか臭みを感じる。いくつか食べてみても変わらない。それでも、現地の名物にがっかりしたくないと無意識に思ったのだろう、「ワイルドな味だね」とか「やっぱり本場はひと味ちがうね」とか言ってしまう自分。必死にいいところを探そうとしていたが……やっぱりあの黒豚はおいしくなかった、と思う。

事前に評判を調べたうえで決めた店だったのだが、済州島の人と私たちの好みが違うのか、たまたまその日の肉が調子悪かったのか。

もう一度食べてみたいような、みたくないような、とにかく肩透かしを食らってしまったのである。一日目はどうもスムーズにいかないことが多かったが、それも旅の醍醐味。後から印象深い思い出として残ってくれる。

でもやっぱりおいしい黒豚が食べたかった!もし済州島で黒豚を食べたら、その味がどうだったのかぜひとも教えていただきたい。

 

 

 

【Journal】海とごはん[済州島]index