タイトル_八重山0315圧縮

ヤエヤマトリップ#006 よったん(波照間島)

2014.10.27      Translation of author 日本語

ay#06-00

幻の泡盛を浴びるように飲んだ次の日、僕は同級生のよったんと波照間島を歩くことにした。
久しぶりの再会に二人でのんびりと話したかった。ただ話すだけなら、ビーチでサンセットでも眺めながら、のんびりとこれまでの旅の話をすればよい。
だけれども、もう少し波照間島に寄り添い、その自然を体験したかった。そこで二人で歩くことにした。

 ニシ浜から海岸線をトレッキングして高那崎を目指すことにした。波照間島は周囲14kmの島で、設定したルートはその半分の7kmほどだった。
その日は大潮が近く、岩礁を歩くには最適な日だった。

ay#06-1

海水浴客を横目に二人でニシ浜を歩いた。右手には、美しい砂浜とハテルマブルーの海が広がっている。
左手には、よったんがいる。いつもどおりタンクトップを着ているし、服装はオーガニックなナチュラル素材の衣類を身につけている。
二人を繋いだのは二宮町という地域であり、たまたまある同じ時期を同じ地域で過ごした関係だ。
ニシ浜の海水浴客には、ただの旅人二人が浜を歩いているだけに見えるのだろうが、その二人にとっては、出逢ってから20年が経った今も、こうして日本の南の果てで他愛もない時間を共有できていることが重要なのだ。

そんなことを再確認しつつ、次の浜を目指して歩いた。

ニシ浜を超え浜崎に差し掛かると観光客は激減し、遠くの砂浜に一人読書をする女性の姿がポツリと見えた。
強い日差しを遮るために大きな麦わら帽子かぶり、浜風にたなびく白いワンピースをまとっていた。
そんな女性を脇目に、僕ら二人は変わらず世間話を続けながらテクテクと浜を歩き続けた。浜はおだやかだった。

ay#06-2

浜を超え松林を抜けると、そこから先は岩礁地帯だった。大潮のおかげて人ひとり歩くスペースがあるくらいの岩場を歩き進めた。
普段は人が立入ることのないであろうその空間は水辺の生き物の楽園だった。

手のひら大のカニの大群が甲羅干しをしている。
僕ら2人の気配に気がつくと、カニ達は飛び跳ね海へと飛び込んでいく。
そんな光景に二人は興奮して声を上げて喜んだ。その一方で、カニの群れを見る度に申し訳ない気持ちになった。
穏やかな昼下がりにのんびりと甲羅干しをしていたところに、人間がズカズカと乗り込んできたのだ。彼らの心境を察すると穏やかでないことは明らかだ。
なるべく自然環境にインパクトの無いよう丁寧に道を歩き進めることにした。

ay#06-3

その岩場の風景は様々な様相をもっていた。その岩礁の高さは3mほどあるのだが、波の浸食によって多様な形状へと変化していた。
その有機的な形状の岩場を眺めては、バルセロナにある建築家ガウディの作品を思い出した。
サグラダファミリアを見た時には、ミクロからマクロへの宇宙観を感じたけれど、波の浸食によって造形された岩場にも似たような宇宙観を見た。
二人は、そのコスモに魅了されながら、岩礁帯を進んだ。

 ay#06-4

岩場の縁を這いつくばるように歩き続けるとやがて南中にさしかかり、広い岩礁地帯へとでた。先にはペムチ浜が見える。
そこからは、くるぶしほどの深さの岩礁を跳ねるように歩いた。
天から指す日差しは強く、じりじりと汗が吹き出すものの、暑さを感じさせないほどの風が岩礁帯の上を吹きさらしていた。
二人は炎天下にさらされ、体力を消耗した。太陽を遮る日陰はまったくない。ただ、風が吹きさらし暑さを感じないことだけが唯一の救いであった。

 ay#06-5

ペムチ浜を過ぎると高那崎までは岩場の上を歩いた。岩場は海面から十数メートルあがった高さになり、海原も雄大な姿に変化した。
白い砂浜が透き通る様な様相から、コバルトブルーの荒々しい海原に変化したのだ。岩場から目下の岩礁を恐る恐る眺めては、その迫力にへっぴり腰の二人がいた。
その岩場のトレッキングはなかなか退屈なもので、それまで水辺を歩いていた時のような幸福感は失われてしまった。
あまりに退屈になると、岩場の端を歩き波のしぶきをぼんやりと眺め、気持ちを上げることにした。

ay#06-6

しばらく歩くと、左手に観光客がいた。久しぶりの人影に心がざわついた。
どうやら日本の最南端の碑があるポイントのようで、みな記念撮影をしているようだった。
二人の興味は碑よりも高那崎にあったので、記念撮影をすることもなく崎を目指した。

高那崎を指す道標などはないので、地形図を眺めながら恐らくここが高那崎だろうというポイントにたどりついた。
せっかくなので、高那崎にいるよったんを撮ることにした。南の果てにいるよったん。
エベレストを登頂した登山家を撮影するような気持ちでシャッターを切った。そして、彼と一緒にここに来ることは二度とないだろう。
と思いつつ二枚目のシャッターを切った。

ay#06-7

そして乾ききった二人の身体を潤すべく、Beerを求めて集落へと駆け足で戻っていったのだった。

 

 

 

【Journal】「ヤエヤマトリップ」index