サツマイオウジマ#001 池袋

2014.08.10      Translation of author 日本語

satsumaioujima

『相変わらず質の良い筋肉をしているな。』

 秋晴れがすがすがしい土曜日の昼下がり、池袋は大変な賑わいだった。東京から東海道線で一時間離れた町に住む僕には、くたびれる人混みだ。久しぶりに彼と再会して、相変わらず引き締まった筋肉に感心した。その筋肉は都会らしい感じがなく、大自然に放牧された牛のように引き締まっている。この池袋の雑踏とした雰囲気には不釣り合いな筋肉だ。久しぶりの再会というのに、改めてその筋肉に目がいってしまった。

 彼が日々トレーニングをしているからその筋肉が保たれているのか、生まれ持った筋肉質だからなのかは分からない。しかし、彼の前職が南極観測隊と聞いて、その筋肉の意味を僕なりに理解した。それは、極地という厳しい環境と向き合うために、その筋肉が必要なのだろうと。

その優れた筋肉をまとった31歳の彼は今年の夏の終わりに南極から鹿児島のとある離島へとフィールドを移した。僕が彼に出会ったのは、ちょうどその転換期の頃で、彼の高校の友人である永友くんを介して知り合った。その出会いは、宮城県石巻市の牡鹿半島で開催される夏祭りに向かうトリップだった。牡鹿半島へ向かう車内で、東北道を走りながら、彼のこれまでの経験を聞いた。そして、石巻に着く頃には十分過ぎるほど話は展開していた。

 数ある話をした中で、僕は彼のこれからの話しに興味を持った。それが、薩摩硫黄島(以下、硫黄島)とのはじめての出会いだった。

 

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